多様性の進む昨今、いろいろな障害を持つ人も受け入れられる社会づくりが一般に浸透するようになりました。その影響か、発達障害は決して珍しくはなくなっており、10人に1人、クラスに2~3人はいるという調査もあります。
その中でも「算数障害」と呼ばれる、数や計算に関する基本的なスキルや概念を習得するのに困難を抱える発達障害の一種を抱える人にとって、そろばんが、数や計算の仕組みを視覚的にとらえることができる有効なツールとして注目されています。
この記事では、そもそも算数障害とはどんなものなのか、少しでも日常を生活を楽にするためにできる対処法や、そろばんがどんなところにメリットなのかなどをご紹介します。算数障害に悩むあなたも、そろばんで数に親しみましょう。
算数障害とは、数字や計算に関する基本的なスキルや概念を習得するのに困難を抱える学習障害の一種です。
算数障害は、知能や教育水準とは関係なく、個人の能力に影響を与えます。原因はまだ明らかになっていませんが、遺伝的要因や脳の構造や機能の違いが関係している可能性があると言われています。
算数障害の症状や特徴は、主に数字や計算に関する基本的なスキルや概念の理解が困難であることです。例えば、数の大小や順序、四則演算のルール、単位や記号の意味などが分かりにくい場合があります。また、計算の過程や答えを記憶したり、文章題を解いたりすることも難しいです。これらは知能や学習意欲とは関係なく、個人差が大きいと言われています。
他にも、次のような症状が見られることが多いです。
活躍されている中にも、実は算数障害を抱えており、公表している人もいます。
・黒柳徹子さん
タレント、エッセイスト。簡単な計算ができなかったと公表しています。
・ベンジャミン・フランクリンさん
作家、科学者、発明家、政治家。算数の障害があったと言われています。
ご紹介下のはほんの一部ですが、才能を発揮されている有名人にも算数障害を持っている人がたくさんいます。算数障害は、数や計算に関する学習の困難を示す発達障害の一種で、知的障害や視力・聴力の問題とは異なります。つまり、算数障害は、個人の能力や才能を減らすものではないのです。
算数障害の診断テストでは、算数や数学に関する基本的なスキルや知識を測ります。
一般的な知能テストとは異なり、算数に特化した内容で構成されており、専門家によって実施されることが多く、テストの結果に基づいて、算数障害の有無や程度、支援の必要性などが判断されます。
算数障害の診断テストには、以下のようなものがあります。
算数障害の診断テストは、学校や家庭で気づいた算数に関する認知の問題から、さらに知能検査や認知検査などを用いて、その子供の認知特性を検査・分析することで行われます。
また、日常生活で少しでも困難に感じる機会を減らせるよう、各市町村には発達障害者支援センターに相談窓口があります。算数障害の疑いがあると思ったら、検査や支援についての案内を受けられます。
算数障害とは、学習障害の一種で、算数や計算、推論などが苦手な状態のことですが、算数障害の原因は、中枢神経系に何らかの機能的な障害があると推測されていますが、はっきりとは分かっていません。
算数障害かどうか迷っているけれども、検査を受けることに抵抗がある方もいるかもしれません。そこでセルフチェックの項目を挙げてみました。
上記の中で当てはまる項目がいくつもある場合は、専門機関への相談も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
算数障害は大人になると、ほかの発達障害との判断が難しい場合もあると言えます。
発達障害とは、脳の発達に関係する障害の総称で、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)、学習障害(LD)、非言語学習障害(NVLD)などがあります。
発達障害は、幼少期から症状が現れますが、環境や個人差によって、大人になってから気づくこともあります。 大人になると、発達障害の症状は変化したり、他の精神疾患と重なったりすることがあるため、判断がつきづらくなります。
【ASD(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)の場合】
大人になると、対人関係や社会生活に適応するために、自分の感情や興味を抑えたり、他人の真似をしたりすることがあります。これによって、自分の本当の気持ちや個性が見えにくくなり、他の発達障害やうつ病、不安障害などとの鑑別が難しくなることがあります。
【ADHD(注意欠如・多動症)の場合】
大人になると、多動性や衝動性は軽減されることが多いですが、不注意や集中力の低下、時間管理や計画性の欠如などが残ることがあります。これによって、仕事や家庭でのトラブルやストレスが増え、うつ病や不安障害、薬物乱用などの二次障害が発生することがあります。
【LD(学習障害)やNVLD(非言語学習障害)の場合】
大人になると、読み書きや計算、空間認識などの困難が続くことがあります。これによって、学習や仕事に支障をきたしたり、自己肯定感が低下したりすることがあります。
【ディスクレシアの場合】
読むことにおける障害です。文字を一つ一つ拾って読む(逐次読み)や、文字間や行間を狭くするとさらに読みにくくなるなどの症状が見られます。ディスレクシアの原因は、音韻処理の困難さにあります。音韻処理とは、文字とその読み(音)の対応を自動化する能力のことです。
算数障害とディスレクシアは、発達障害の学習障害の一種とされています。学習障害は、全般的な知的発達に遅れはないものの、学習して習得するための能力に困難が生じる発達障害のことです。
発達障害の認知拡大に伴い、大人になってから発達障害の診断を受ける人も増え、受け入れ機関や受診できる機関も増えました。診断を受けることで、自分の強みや弱みを知ることができ、適切な治療や支援を受けることができます。
残念ながら、現段階の医療では、算数障害を完治させるための根本的な治療法はありません。しかし、教育的管理や療育の支援を受けることで、日常生活を快適に送れるようになることがあります。
小学生や中学生、高校生など、学習する時間が大変多い学生の場合、算数障害への対処法としては、以下のようなものがあります。
このような個人で行える対処法のほかにも、担任以外の補助員の配置など教育的管理や療育の支援を受けることで、日常生活を快適に送れるようになることがあります。
大人になると、算数障害は仕事に影響が出る可能性もあります。
仕事においては、お釣りの計算やお金の管理、グラフや表の作成や解釈など、数字に関する業務はどの職種でも必ず生じます。また、ミスをしたり、時間がかかったりすることで、自信を失ったり、ストレスを感じたりすることもあるでしょう。
しかし、大人になってからでも算数障害への専門機関からの支援ももちろん受けられるほか、日常ではスマートフォンや電卓などのツールを使うことで、苦手をカバーすることも可能です。
そろばんは、算数障害を緩和するのに役立つという研究結果があります。
そろばんは、右脳を鍛えることで、数字や計算の規則性を視覚的に理解することができます。またそろばんは、集中力や記憶力、判断力などの能力も向上させることができます。
しかし、そろばんだけでは、算数障害のすべての症状を改善することはできません。そのため、教育的管理や療育の支援をなどと併用し、障害へのカバーをしつつ、少しでも能力の弊害が緩和されるようそろばんで必要な能力の強化をすることが大切です。
いしど式では、かずの概念を身に着け始める2~3歳の子どもから、ご年配の方まで幅広い方がそろばんを習っています。計算が早くなりたいと感じている人だけでなく、算数の習得に難しさを感じる人にもかずのしくみからしっかりと習得してもらう環境が整っています。
視覚的に数字や計算を理解することができるそろばんで、ぜひ算数に対する悩みを緩和する一歩を踏み出してみませんか。
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